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水垣先生の神学ゼミナールに参加

 2008-09-09

 先週の火曜日夜、水垣渉先生(キリスト教学・京大名誉教授)を招いてのセミナーが開かれた。「クリスチャン成長研究会」「牧会塾」による共催だ。
 部屋の関係で定員があり、今回は約25人の参加であった。
(「牧会塾」は、いま準備中の働きで、いつかブログでも触れたい。)

 このセミナーが開かれるきっけは、6月に本ブログでも触れた『初期キリスト教とその霊性』の著者が上京するということによる。
 参加者は前もってこの著作を読み、質問を提出してあったので、その質問への解答という形で、セミナーが進んだ。

 自分のためにも学んだことをいくつか記しておきたい。文字通り先生が言ったというより、私なりに言葉にした文章なので、間違いがあるかもしれません。
 長くてすみません。

(1)聖書とその解釈
 後世の思想をもってきて聖書を理解するよりも、聖書それ自体の範囲で理解し、説明する作業が必要ではないか。たとえば、「主観」「客観」というような、後年に使われるようになった解釈で、あまりに聖書を区分けして見てしまうと、聖書のメッセージから命が失われてしまうことになるだろう。
 難しくはあるが、聖書にある考えで、聖書を理解しようとすることが大切。
 聖書から教理を導き出すにしても、教理で聖書を解釈しないほうがよい。聖書の上に、後世の思想の影響を受けた教理を置いてしまう危険性があるからだ。

(2)字義的解釈と比喩的解釈と霊的解釈
 宗教改革以降、どんな考え方も聖書理解に持ちこんでしまう比喩的解釈の危険性が指摘され、現代に至るまで字義的解釈で聖書を説くべきだと考えられている。
 そして、比喩的解釈とは、文学的解釈における比喩的解釈と理解されているが、それとは違う比喩的解釈があるし、さらには霊的解釈というものも存在する。

 字義的解釈と比喩的解釈のどちらとも言えず、どちらも成立する場合があると私は思う。カトリック的な比喩的解釈をしないと言いながら、では自分たちは絶対に比喩的解釈をしていないかというと、そうは断言できない。

 聖書の正典として『雅歌』が入っているが、それを字義的解釈のみで理解するのは無理がある。

 聖書解釈ということを、キチンととりあげてない限界がそこにはある。本当の聖書解釈というものは、いまだにない。学者が研究しているだけ。 
 教父のように聖書を理解してよい。ただ教父は、聖書から離れ過ぎる危険性があった。

(3)キリスト教と国家
 4世紀に、キリスト教は公認され、同世紀後半に国家宗教となった。これが与えた影響はじつに大きい。国家と宗教はきわめて根本的なことで、いま日本でも宗教法人化というかたちをとって影響を与えている。

 東方は西方ほど、聖と俗を分けないで進んできた。聖俗の二分方は、西方教会の特徴である。東方の国は、政治権力のトップ(皇帝)と、宗教界のトップは同一人物であった。
 アウグスティヌス以降、西方は歴史観、歴史哲学が発達するが、東方にはそのようなものがあまりない。地上と天上の歴史を分けて考えていない。
 東方正教は、共産主義を超えて長い命をいまも保っている。

(4)教派という考え
 日本のプロテスタントには教派という考えが根強いが、ヨーロッパではそういう意識が少ない。キリスト教がアメリカで発展し、そこで教派という考えが強化され、それが日本に持ち込まれたことに要因があると思われる。そこで、日本のプロテスタント内は教派意識が強い(日本のプロテスタント内で一つの教会という意識が弱い)。

 ヨーロッパでは、教派がいくつかに分かれていても、基本的に教会は一つという考えが浸透している。

(5)三位一体論
 教父たちはたいへんな苦労をして、異端に対抗して聖書の神を説明しようとした。そして三位一体をパーソナルに理解していた。それを言葉で理解するのは難しい。

 やっとできあがった理論なので、プロセスを理解することが重要だ。後世の理解の仕方を持ち込んで説明するより、聖書のなかで理解する必要がある。
 教理、思想としてではなく、聖書の言葉のいのちに戻って理解する必要がある。

(6)プロテスタントの中にも修道制が存在する
 いろんな運動が教会の中から派生して、教会はダイナミックな力を生み出してきた。教会の中だけにとどまらないためには、外へと向かう自発的なグループが必要になってくる。それをなくすとキリスト教の将来はないと思う。

 カトリック教会では修道会、プロテスタントでは超教派運動がそれにあたるのではないか。プロテスタントは修道会をなくしてしまったが、超教派運動がそれを受け継いでいるとも言える。どう協力関係を強めていくかが大事になる。

(7)ストーリー(物語)としてのヒストリー(歴史)
 古代は、今のように信徒が聖書を読んでいたのではなく(本がなく、聖典も成立していなかった)、口頭で聖書が読まれ、聴衆がそれを耳で聞いて、物語として受け入れていた。
 ヒストリーとなると難しくなるが、ストーリーとしてのヒストリーは誰にでも伝わりやすい。

 ストーリーは「再現する」という性質がある。この機能が大切。頭の中で再現するときに、迫真性をもってせまってくる。ストーリーテラーという役目が大切になってくる。
 ローマ書でさえ、書かれたというより語られたもの。パウロが口述して秘書に筆記してもらった。その証拠に、口述しながら興奮してきたパウロが、「アーメン」と、いつのまにか祈りになる箇所が出てくる。

(8)日本人としての霊性
 日本の異教的な霊性を用いて、福音理解に役立て、深めることができないかという問いがあるが、難しい面がある。
 すでにキリスト者がキリスト教用語として使っている言葉は、日本の宗教や古い日本語からもってきているものが多い。それを聖書の意味で使っている。「神」「神学」「説教」「愛」「霊」(「礼拝」も? 仏教では「らいはい」と読む。「祈り」「祈祷」などもそうですよね。)など、明らかに、もともとは異教の言葉だった。

 そこで聖書を読むとき、キリスト者も非信者も、別なニュアンスで受け取ることがある。相手になんとか伝えたいとしても、自分たちの中にある日本文化をよく理解していないと、伝えたくとも伝わらない。まず、自分たちを理解してから、外のものを理解することが肝要だ。しかし、自分たちのことさえ、まだよく理解てきていないのが現状だ。

(9)私の個人的な質問
 講演が終わった後、質問したい人の列が少しできた。私も並んで質問した。

 私:「『心』『思い』『たましい』『知性』などの意味を、しっかり区別できる定義、用法が明確でないので、翻訳するときに、えらいやっかいです。なんとかならないでしょうか?」

 先生「そうんなんです。原語でもあいまいで、はっきりしていないのです。問題は、聖書が書かれてた後の時代の考え方、思想で分類、理解してしまうことです。これも、聖書にそって理解することが大切になってきます」

 ということでした。う~む。ここでも聖書全体を読むこと、いろんな言語で読むことの大切さを再確認できました。

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初期キリスト教会における女性の貢献

 2008-06-20
 無知なゆえに勘違いしていることって多いですよね。『初期キリスト教とその霊性』の第一部から、もう一つの話題を取り上げます。
 それは、米国の社会学者ロドニー・スターク著「The Rise of Christianity」(1996)を参考にしたもの。

女性人口は男性より少なかった
 日本の歴史でもそうですが、男性が生まれることを社会や親は望み、女性が生まれると遺棄したり、殺したりしました。それは社会的に広く容認されていたのです。当時、男性の人口は女性より30-40パーセント多かったそうです。

 中絶、危険な避妊法、出産などで、女性が命を落とすことも珍しくなかったでしょう。そしてなんと、一家族で二人以上の女児をもつことは稀だったとか! 今から考えるとひどい話ですね。貧しかったことも一因でしょうが。

女性の結婚年齢
 当時の法律では、12歳で結婚していいそうです。ある研究では、14歳までに44パーセントの女性が結婚したそうです。18歳以上で結婚した人は37パーセントしかありませんでした。貧しいゆえに、早めに結婚させたという理由もあるそうです。

 一方、キリスト者の結婚年齢は高く、13歳以下で結婚した人は7パーセント、18歳以上で結婚した人は48パーセント。自分の意志で結婚できた女性の割合が高かったらしいです。また、より成熟した身体で出産を迎えることができます。

キリスト者は多産
 より成熟した身体で結婚し、嬰児殺し、中絶などをしなかったので、結果として家族が多くなります。当時、出産率が死亡率を上回った稀な人々がクリスチャンホームだったとか。これが信徒の人口が増えた大きな原因一つだと指摘しています。
 現代はまったく逆で、全体で少子化が進むなか、非キリスト教徒や貧しい人々が多産、大家族化していますよね。

非信徒との結婚
 当時は、男性のキリスト者が非キリスト者の女性と結婚したという記録は残っていないそうです。ただし、女性のキリスト者が非キリスト者と結婚するのは珍しくなかったそうです。今もそうですが、教会内では女性の人口が男性より多かったので、教会外に相手を求めました。女性が独身で生きることは難しかった時代です。非キリスト者の親が結婚を強制したことも多かったでしょう。

 これは教会のために有利に働いたそうです。あとで夫が信仰をもったり、出産率が高く、子供たちが信仰をもったりしました。部族外や遠くに嫁に出されることも多く、これは遠隔地にキリスト教が伝わる結果になりました。

 本書では指摘していませんが、キリスト者女性は品行方正で、よく夫に仕え、熱心に子供を養育するので、評判が高かったでしょう。4世紀になると、宮廷のなかにもキリスト者の婦人が進出し、夫がキリスト者になったことが知られします。

「若いやもめ」とは
 新約聖書の「テモテへの手紙(1)」のなかに、「若いやもめ(未亡人)」という言葉が出てきますが、この背景が本書を読んで理解できました。
 つまり、低年齢で結婚させられた相手は、自分よりずっと年上の男性だったのです。男性が12歳で結婚するのは(婚約はまだしも)経済的に無理ですから、経済的に余裕のある相手になります。

 高齢者と結婚した若い女性は、先に夫が亡くなることがあったわけです。未亡人は、再婚を二年以内にせよという法律もあったなかで、キリスト教会では独身者が尊重されたので、女性はいやすかったことでしょう。

 以上、キリスト者の出産率が高かったこと、当時、女性は非キリスト者と結婚せざるを得ないことがあり、結果としてキリスト教の普及を高めた一因になったことを本書で知りました。

 現在、社会の不安定化、犯罪の凶悪化の環境のなかで、福音伝道の大切さが叫ばれていますが、初期においては、こうした要因による広がりも含まれていたのです。

 歴史研究って面白いですね。

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初期キリスト教はどうやって成長したか

 2008-06-16
 友人の紹介で、最近出た本を知りました。『初期キリスト教とその霊性』(水垣渉著 聖恵授産所出版部 150頁 本体1500円です。4月初めに書店に並びました。

 著者は、現在、京都大学名誉教授で、長い間、キリスト教学を専門にしていらしたそうです。内容は2つの講演からなっていて、分かりやすいものになっています。ただ、初期の指導者のカタカナ名が多数出てきて、慣れていないと混乱しそう。

初期キリスト者が受けた震災
 短いこのブログでとても紹介しきれないので、一つ、二つのことを取り上げますが、第1部「初期キリスト教への招待」のなかで印象に残ったことは、天災や飢饉が福音の普及に大きな影響があったことです。私は、初期には理想的なコミュニティが形成され、迫害や誤解を受けるなかで、地道に福音が伝わっていったと受け止めていたので、予期せぬ発見でした。

 たしかに「使徒の働き」(11:27)で、アガボという人が「大飢饉が世界中に起こる」と預言し、「クラウデオの治世に起こった」とありますが、かなりの頻度で起きていたようです。教会の中心地であったシリアのアンティオキア(アンテオケ)は、ローマ支配の600年間に数百回の地震災害があったそうです。町が壊滅状態になったことも8回あったとか。当時の住宅では多数の死者が出ただろうと推測できます。また、少なくとも3回の疫病の大流行があって、死亡率25パーセント以上だったらしいです。これは、今では考えられないくらいの大惨事ですね。
 アンテオケはローマ支配時代に、平均すると15年に1回の大災害があったそうです。またAD262年には初期キリスト教の中心地、エジプトのアレクサンドリアは、人口の3分の2が疫病で亡くなったらしいです。これも壊滅的。

危機のなかでの福音伝播
 平均寿命が30歳にもならなかった当時、こうした災害、伝染病が流行るなかで、どうやって福音が広がったかですが、「永遠の命」を約束する知らせが、「今と比較にならないくらいに身に沁みて受け取られたに違いない」(P.55)と著者は言います。
 実際、380年ころの著作には、「悲惨な疫病のために多くの異教徒が自分たちの神々を捨てて、キリスト者になった」と記されているそうです。この展開には驚きました。

 現在、中国で、日本でも突然の災害が発生し、多くの人が苦しんでいます。温暖化の影響で、これからも異変が数多く起きることでしょう。そうした同じような状況のなかで、キリスト者は人々のスピリチュアルなニードに答え、被災民、取り残された孤児、病人、未亡人、社会的弱者への支援、野ざらしにされた死体の埋葬、奴隷への配慮、強制労働者の支援、旅人をもてなしたり貧しい教会を援助したりなどをしていたそうです。
 
 ですから、初期のキリスト者共同体が、福音にふさわしい生活を実践していたことが、その後の発展を招いた大きな理由の一つとしてあげています。強制的な普及活動などできる力はなく、整った教会組織もまだない時代のことです。こうしたなかで、教会側も新約聖書をまとめ、基本となる教理を明確にし、福音を伝えていく基礎を築いていきます。(続く)
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