スポンサーサイト

 --------
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

CT誌ー20世紀の宗教•思想書100選パート10(No.45-41)

 2014-12-19
 じつに、三年ぶりのシリーズの更新です。若干名期待している方々に、お待たせして申し訳ありません。
「クリスチャニティ・トゥデイ誌」が選定した20世紀を代表する宗教書100冊。全部を紹介する目標に向かって遅々とした歩みです。私が知らない書物も多く、このシリーズは自分の世界を広げるのに役立ってます。
 ここに紹介するほとんどの書物は、私も読んでいないので、ネットから調べたデータによって「こういうことらしい」ということで紹介しています。

45 『預言者の想像力』現実を突き破る嘆きと希望 ウォルター・ブリュッゲマン(''The Prophetic Imagination'' by Walter Brueggemann 1933〜)1992、2001改訂。米国人。プロテスタントの旧約聖書学者。邦訳2014年発行。

 エレミヤの嘆き、イザヤの希望。現実世界の不正や混乱に無感覚になるのでなく、その事実を見据えて、ひたすら嘆くことに意味があると主張しています。イエスの憐れみ(スプラングニゾマイ---はらわたから苦しむ)は、苦しむ人、社会の隅に追いやられ、無視されている人に向けられたもの。その苦悩をイエスは十字架にかけられ処刑されることで受け止められたと言います。権力者による支配への徹底的な批判、イエスの死と復活、そこでの新しい世界の始まりに希望を結びつけています。今年の4月、鎌野直人師による翻訳で、ついに出版になりました。

預言者の想像力―現実を突き破る嘆きと希望預言者の想像力―現実を突き破る嘆きと希望
W. ブルッゲマン Walter Brueggemann

日本キリスト教団出版局 2014-04
売り上げランキング : 766616

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


44 『四つの四重奏』(原著1943年)T.S.エリオット (''Four Quartets'' by Thomas Stearns Eliot)(1888–1965)。米国に生まれ。25歳でイギリスに移住。エッセイスト、文芸評論家、劇作家、詩人、編集者。ノーベル文学賞受賞(1948)

 T.S.エリオットは、いろんなキリスト教書のなかで引用されるので、名前はよく見ます。しかし、たぶん日本では、ほとんど知られてない人物だと思います。詩作が中心であるため、私たちになかなかなじめないのでしょう。英文学科で学んだ人は、言わずもがなの人物なのでしょう。
 1927年にアングロ・カトリックに改宗(アングロ•カトリックとは、英国国教会のことでしょうか?)。宗教色の濃い作品を書く。その中でも本書は彼の最高傑作。
 大江健三郎氏は、20世紀最大の詩人と言っているようです。内容は濃く、重く、人生、思想の回想、平安への祈り、それらの深い黙想の詩。ひとつ一つの詩は長く、読み通すのが大変そうです。

Amazonの読者評には、
「静寂に包まれ、この詩の中では、時間、空間、物質、意識などが、すべてが言葉の中に溶け合っている」と素晴らしい言葉が。。

四つの四重奏 (岩波文庫)四つの四重奏 (岩波文庫)
T.S.エリオット 岩崎 宗治

岩波書店 2011-04-16
売り上げランキング : 54486

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


43 『Living in Truth』(1986年--邦訳見当たらず)ヴァーツラフ・ハベル( Václav HavelVáclav 1936–2011)
ハベル大統領と言えば、たぶん50代以上の人は分かっていると思いますが、共産圏下のチェコスロバキア時代に、劇作家、文学者でありながら抵抗運動の指導者として活躍。何度も逮捕されたり、投獄されたりした国際的な有名人。そして流血の惨事に陥ることなく、静かな、平和的な解決をいまのチェコとスロバキアにもたらしました。その革命は「ビロード革命」(ビロードのように滑らかに改革を進めた)と呼ばれています。つい数年前に亡くなっています。
 ただ、この本についての情報はネット上に見つからず、内容はまったくわかりません。自伝なんでしょうか? 自伝は邦訳が出ており、その絶版を入手して原著のタイトルまで調べようとはまだしておりません。しかし、宗教書に選ばれるということは、かなり彼の信仰的な面に触れているのかもしれません。
 元々はチェコ語で書かれたのでしょうが、それが英語に翻訳され(それがCT誌で選ばれ)、また日本語に翻訳されるときは、たぶんチェコ語から訳されるので、タイトルが同じとは限りません。(そこが、本シリーズ100選作成の上で、悩ましいところです。)
jpeg.jpg

42 『新約聖書のモラル・ヴィジョン』―共同体・十字架・新しい創造 (原著1996年、邦訳2011年)リチャード・ヘイズ(The Moral Vision of the New Testament: Community, Cross, New Creation by Richard B. Hays. 1948〜)米国人。新約聖書学教授。2010年からデューク大学神学部長。 170頁のわりと厚くない本。

「聖書のメッセージに耳を傾けながら生きること」を研究のテーマとする。その方法論と具体的な問題への適用の道筋と意義を解説。新約聖書倫理学のコンパクトな概説書。ただし、本書は、「New Testament Ethics: The Story Retold」という、上の本の縮刷版である模様です。フルバージョンの原著のタイトルを、縮刷版に採用したのかもしれません。そこで邦訳の表紙の英語タイトルが異なっているんですね。

・聖書の持っているモラル・ヴィジョンをその時代背景からしっかりと受け取り直し、その時代と異なる現代社会に対する新鮮なモラル・ヴィジョンとして提示してくれました。」

【目次】(キリスト新聞のサイトから)
第1章 研究領域の地図作り
    ―新約聖書倫理学への接近
第2章 ストーリーをあらためて語る
    ―信仰の基準と新約聖書倫理学の作業
第3章 キリスト教倫理に対する史的イエスの意義
第4章 男性と女性
    ―メタファー的方法の実例

新約聖書のモラル・ヴィジョン―共同体・十字架・新しい創造新約聖書のモラル・ヴィジョン―共同体・十字架・新しい創造
リチャード ヘイズ Richard B. Hays

キリスト新聞社 2011-04
売り上げランキング : 1025872

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


41 『ヒロシマ』(原著1946年 邦訳増補新装版2014年)ジョン・ハーシー (1914–1993 John Hersey)
 中国天津に生まれ。ジャーナリストとして活動。ピュリッツァ賞受賞。イェール大学で20年間教える。アメリカ著作家連盟会長、アメリカ芸術文学学校校長を歴任。

 6人の広島の原爆被害者(そのうち3人がキリスト者。米国で神学を学んだメソジスト教会の日本人牧師、ドイツから派遣されたイエズス会の神父、ドミニコ会の日本人シスター)にインタビューした記録で有名らしいです。私はまったく知りませんでした。まあ、日本にいれば、原爆の歴史はよく報道されるので、かなり知っている内容が書いてあるのかもしれません。あるいは、経験者の言葉を取材し、米国人の目で見た分析は、本書にしかないものがあるかもしれません。

(BOOKデーターベースより)
「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた。史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らせ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪をもとに執筆した5章「ヒロシマ その後」で、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づけた。

(Amazonで掲載の書評 Copyright© ペイパーウェイト・ブックス)
1945年8月6日、世界ではじめて原子力爆弾が広島に投下された。そして広島は一瞬にしてすべてが破壊された。本書は、ピュリッツァー賞作家ジョン・ハーシーが、原爆投下直後の広島を自らの足で歩き、生き残った人々の真実の声を集め、それらを記録し、1946年に発表された作品である。
あの日、広島にはなにが起こったのか。あの原爆投下の正当性については、政治の立場、科学者の立場、そして「人間として」の立場から、いまなお、さまざまな意見が述べられている。しかし、本書は、軍隊を持つ国々に暮らし、紛争の絶えないこの地球に生きる私たちすべての人間が、原爆と広島についての事実と真実を知るために、読まなければならない1冊である。1946年の初版から40年の時を経て、著者ハーシーは再び広島を訪れた。そのときのことが最終章として追加され、胸に強く響く。

Hiroshima ウィキペディアでの英文の解説は読み応えがある

ヒロシマ 〈新装版〉ヒロシマ 〈新装版〉
ジョン ハーシー John Hersey

法政大学出版局 2014-05-30
売り上げランキング : 150294

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
スポンサーサイト
カテゴリ :CT誌-20世紀の宗教書100選 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

20世紀の宗教・思想書100選 パート9(NO50-46)

 2011-03-03
God, Revelation and Authority (6 Volume Set)
 本シリーズを楽しみにしてくれている方もいるのに、続きの記事が、大変遅れてすみません。ネット情報を元に、自分のまとめてとして書いています。
 各書名のタイトルをクリックするとAmazonにリンクされます。

50 『神、啓示と権威』(仮題:邦訳なし 1999年)カール・ヘンリィ (1913–2003)
God, Revelation and Authority (6 Volume Set) [Paperback]
Carl F. H. Henry

 六巻もある著作集を、そんな簡単に読み通せないでしょうが、現代の福音主義神学を集大成したものとして定評を得た、最も重要な著作らしいです。すべての福音主義に立つ牧師の書棚におさめられるべき、と推薦する人もいます。
(では、日本の福音派、福音主義者の内で、本書が言及されないのはなぜ? たしか20年以上前、『キリスト者の社会的責任』とかの著作が一冊だけ訳された記憶が。)

 聖書に忠実で、神学的にも深く、学問的にも優れ、霊的でもあり、現代の混乱した世界におけるキリスト者、キリスト教のあり方を述べている、ということです。これからの時代の知識人リーダーにとっても、とても有益であるとか。

 カール・ヘンリィは、早くから社会的責任などに目覚めていた神学者で、米国の福音主義キリスト者のオピニオン誌、『クリスチャニティディ』の創設者の一人。偏狭な原理主義的ではない、聖書に根ざした福音主義(福音派)神学のあり方を示した本と言えるでしょう。


幻想の未来/文化への不満 (光文社古典新訳文庫)49 文化への不満 ジークムント フロイト(1856-1939)
Civilization and Its Discontents, by Sigmund Freud ()

光文社 2007-09-06
売り上げランキング : 32316

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 説明は不要でしょうが、フロイトは、オーストリアの精神分析学者。白人系ユダヤ教徒アシュケナジーの家系。神経病理学者を経て精神科医となった。マルクス、ニーチェと並んで、20世紀に最も大きな思想的影響を与えたという人もいます。

 ただ、現代では、彼独特の思想が批判的にとらえられ、学問的評価も不安定です。彼の後継者たちが、さまざまな修正を加えて現実に適用しています。彼が生きた時代の、父権的で、性的抑圧の強かった影響を受けて(原因はキリスト教と言っている)います。

 現代、日常会話に出てくる「トラウマ」は、彼から来ています。彼の時代、唯物論的な社会思想がますます強くなる中で、精神、心の与える影響を掘り起こしたという意味で貢献しましたが、そういう意味でも、彼は時代の反逆児だったのでしょう。

 彼によると「文化」とは、人間の動物的で盲目的な欲望をコントロールするもの。とくに、道徳や宗教が、子どものときから人間の欲望を抑圧し、社会に合わせるようと脅迫的に迫るというのです。
 彼の研究対象であった神経症の発症は、こうした動物的欲望を抑圧することからくる人間の業であって、すべての文化的営みにしみ込み、神経症患者を生み出していると批判。

 本書は、彼が歩んだ時代と人生と深い関係があるようですから、自分の「うらみ」を本書ではらそうとしているのかもしれません。


権力と栄光 グレアムグリーンセレクション  ハヤカワepi文庫48 『権力と栄光』 グレアム・グリーン
The Power and Glory by Graham Greene(1904-1991) 

早川書房 2004-09-08
売り上げランキング : 331499

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 遠藤周作が尊敬し、影響を受けていたことで知られています。オックスフォード大学に在学中、イギリス国教会(プロテスタント、聖公会)からカトリックへと改宗。そのころは知識人の改宗がブームで、チェスタートンもカトリックに改宗したとか。詳しくはWikipediaをご覧ください。

 カトリック信仰を持ち(たぶん)ながら27歳で共産党に入党。同時代の文学者ジョージ・オーウェル、オーデン、スペンダーなども当時の知識人の流行に乗って共産主義の影響を受けますが、その後、失望して離れます。しかし、グリーンはずっと共産主義に惹かれたそうです。

 グリーンは、遠藤周作のように文学と娯楽の作品を同時に書き、作品の映画化も多数。カトリックを扱った作品が多く、問題作を書いています。ノーベル文学賞候補者でしたが、受賞せずに死亡。
 『権力と栄光』は彼の最高傑作。内容は、上に掲示した表紙カバーから入れるリンク先をご覧ください。どきっとするような問題作ですね。


47 もうひとつの声―男女の道徳観のちがいと女性のアイデンティティ キャロル・キリガン著  In a Different Voice by Carol Gilligan

 1983年のアメリカ教育研究学会出版賞を受賞。著者は、ハーバード大学の女性心理学者。心理学や文学、著者自身の研究から、男性と女性は異なる声を持っていると主張し、それがどのような意味を持っているを論じます。
 それまでの女性論が、男性の視点で研究されてきたと指摘し、普遍性を欠いていると言います。その理論は、大きな反響を呼び、現在もさまざまな言語に翻訳されては、その国で大きな話題に。

 個性とは何か、性差別とは何か、民族性による違い、男性原理としての「正義」の定義の問題、女性原理としての「ケア」の大切さ等に触れ、フェミニズム倫理学での重要な著作と言われています。

 ネット情報によると、現在、邦訳が入手困難なのは、もっとよい翻訳にするために改訂中の模様。


私のように黒い夜―肌を焼き塗り黒人社会へ深く入った白人の物語46 私のように黒い夜―肌を焼き塗り黒人社会へ深く入った白人の物語ジョン・ハワード グリフィン
Black like me by John Howard Griffin (1920- 1980)

ブルースインターアクションズ 2006-07
売り上げランキング : 180945

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 グリフィンは、米国の白人のジャーナリスト、著作家。とくに黒人差別、人種問題を扱った多くの著作で知られています。

 本書は、1959年、著者が全身を黒く塗り、米国南部に潜入し、白人から受ける差別を体験し、それを本にまとめたもので、発表されるや全米に大きな衝撃を与えたそうです。70年代、米の図書館での禁書とされ、所蔵を拒否される。現在は、大学生のうちに読んでおくべき本の一つとされているそうです。

 たくさんの体験談が掲載され、興味が尽きないですし、白人から受けた差別のひどさは衝撃的。黒人社会から眺めた白人社会の構造的差別も浮かび上がらせ、出版後、黒人解放運動「公民権運動」に加速度を加えたと言われるほどの影響力を発揮。本書は、グリフィン家がたどった人生も含まれ、とても重厚な仕上がりになっているそうです。

Amazonのリンク先にある紹介文から
「(本書は発表)当時、世界に衝撃を与えた“南部の旅”日記に、その後の余波、著者の経歴を含むあとがき等を大幅加筆。いまもアメリカのあり方を深く問い続ける名著」

 本書の中で、黒人に変装して紛れ込む過程、最後に変装を解いて白人に戻る過程と周りの人の反応の変化の描写は圧巻だそうです。

 う~ん、これは読んでみたいですね。このような本が「思想・宗教書100選」に加えられるとは、日本では想像できない深刻な問題を含んでいる、ということなのでしょう。

ネット上に本文の一部の引用を見つけたので掲載

「絶対に白人の女を見るな。下を向くか、他のほうを見るようにするんだ」・・・それがポスターでさえ。

「もっとも性質が悪いのは、無知で暴言を吐きちらす人種差別主義者ではなく、彼らの手先として働き、彼らのために、法案やプロパガンダの文書をでっちあげる州議会議員その他の人びとであるということを、それは示していた。そういう連中は常に愛国心を振りかざして、事の真偽を確かめる術のない人びとに、歪められた事実を故意に植えつけようとしているのだ」(P.126)

「南部の白人は一般に、異端視されるのを怖れて隣人たちには隠しているが、実際には、見た目よりも遥かにりっぱな考えをもっている。そして、彼らは黒人を怖れる以上に、仲間の白人の差別主義者を恐れているという、私の主張を裏付けてくれた」(P.250)

「当時、公民権運動を推進した人々がどんな生活を強いられていたかということを、一般の国民は理解していなかったと、私は思う。その人が成し遂げてきた仕事を帳消しにするために、その人の評判を落とす方法を編み出すのが、人種主義者は大変うまかった」(P.264)

 著者のジャーナリストとしての資質を備えた、鋭い観察です。

20世紀の宗教書100選 パート(6)No65-61
20世紀の宗教・思想書100選 パート(7)No60-56
20世紀の宗教・思想書100選 パート(8)No70-66


カテゴリ :CT誌-20世紀の宗教書100選 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

20世紀の宗教・思想書100選 パート(8)No55-51

 2010-08-10
 一年以上もご無沙汰のシリーズ、がんばって調べ、書いてみました。『クリスチャニティ・トゥデイ誌』が選んだ宗教思想書100選シリーズ第8弾。CT誌の100選は書名のリストだけで、解説はついてません。
 ネット情報がかなり充実してきたので、いろいろと資料を閲覧し、参考にさせてもらいました。リストを作成しながら、自分がいちばん勉強になります。

55 『創作者の思い』(仮題 邦訳無し)ドロシー・L.・セイヤーズ
The Mind of the Maker by Dorothy L Sayers、(1893-1957年)
Mind Of The MakerMind Of The Maker
Dorothy L. Sayers

Continuum Intl Pub Group (Sd) 2004-11-11
売り上げランキング : 121091

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 英国の作家、キリスト教人道主義者。「ピーター・ウィムジイ卿」の推理小説で有名。アガサ・クリスティと並ぶ女性推理作家。本書は創作活動を、「アイデア」「実現(インプリメンテーション)」「相互作用(インタラクション)」という三段階に分けて解説。

 アイデア→制約を受けない頭の中での完成形。
 実現→時間、空間の制約を受け、物質の影響も受ける。
 相互作用→作られた創作が他との出会いで影響を与える。創作者が意図した使い方以外の、誤解、誤用、無視も当然起こってくる。

 本書が、宗教的なこととどう関係するかについては資料がなく、不明です。創造主である神と、その創造物、自然、人間との間にも、こうした作用があるということを言いたいのでしょうか? ご存知の方は教えてください。たしかフィリップ・ヤンシーが、彼女の著作を引用していたような気がする。

54 『キリスト教と社会的危機』(仮題 邦訳なし)ワルター・ラウシェンブッシュ
Christianity and Social Crisis by Walter Rauschenbusch(1861-1918)
Christianity and the Social Crisis (Library of Theological Ethics)Christianity and the Social Crisis (Library of Theological Ethics)
Walter Rauschenbusch

Westminster John Knox Pr 1992-01
売り上げランキング : 1164007

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 近代アメリカ・プロテスタント教界を代表する一人。牧師。社会的福音運動を指導。福音の視点から労働者の社会問題に取り組み、神の国の実現を目指した。人間の発展、進歩について楽観的な視点が基盤にあるので、リベラルな神学者と位置づけられましょう。
 そういう意味で、賀川豊彦の人間理解、社会理解と近いように思えます。

 M.ルーサー・キング牧師は、一時、彼の思想に傾倒したようですが、彼の楽観的な世界観とキリスト教を社会と安易に同一視する考え方に賛同せず、彼から離れる。ニーバーは、人間は罪深い存在であり、悲観的に見ていたので、「キリスト教的愛の実践で社会悪がいずれはなくなる」という人間中心の考えを批判したようです。そうであるにしても、キリスト教と社会福祉について論じた先駆的著作。

53『四枢要徳について』ヨゼフ・ピーパー著  松尾 雄二訳  知泉書館 (2007/05)
The Four Cardinal Virtues by Josef Pieper(1904-1097)
Four Cardinal VirtuesFour Cardinal Virtues
Josef Pieper

Univ of Notre Dame Pr 1990-03-31
売り上げランキング : 714079

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ドイツ人。ミュンスター大学教授 (哲学的人間学)。著書は、『アカデミックとはどういうことか』『哲学するとはどういうことか』『信仰について』『愛について』など多数。
 20世紀で最も卓越したキリスト教哲学者の一人。トマス・アクィナスの解釈を踏まえて、ヨーロッパの伝統的な「徳」についての全体像を描いた名著。正義とは何かを解く。それにしてもタイトルの「枢要徳」という用語はめったに耳にしませんが。

 100選ではないですが、ほかに彼の著作で興味深いのは、『余暇と祝祭』(講談社学術文庫)。
余暇と祝祭 (講談社学術文庫)余暇と祝祭 (講談社学術文庫)
稲垣 良典 ヨゼフ・ピーパー

講談社 1988-12
売り上げランキング : 269698

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 現代人が豊かな生活を享受するために、余暇の意味を考察。いかに人間らしく生きるかを展開。小著。



52『アンネの日記』 (文春文庫)
アンネの日記 (文春文庫)アンネの日記 (文春文庫)
アンネ フランク Anne Frank

文藝春秋 2003-04
売り上げランキング : 5179

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 言わずと知れた?『アンネの日記』の完全版。98年に新たに発見された5ページ分を加えたもの。あまりに有名ですが、読んだことありますか? 私は、まだです。でも、かつてアムステルダムを観光したとき、隠れ家を見学したことがあります。

第2次世界大戦中、ナチスの手を逃れて、アムステルダムの隠れ家で書きつづった13歳から15歳までの25か月間の日記。家族愛、恋、悩み、苦しみ、喜び、 夢と希望を記した少女による20世紀の魂の記録。


51 『生きる意味を求めて』ビクトール・フランクル 諸富 祥彦、松岡 世利子、上嶋 洋一訳
 Man's Search For Meaning by Viktor E. Frankl
「生きる意味」を求めて (フランクル・コレクション)「生きる意味」を求めて (フランクル・コレクション)
ヴィクトール・E. フランクル Viktor E. Frankl

春秋社 1999-10
売り上げランキング : 12349

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 フランクルの著作は、ありがたいことに、たくさん翻訳されています。それだけ日本に読者がいるということですね。

 ナチス強制収容所での体験から、彼のロゴ・セラピーの実践までを解説。
 どうしたら苦しみに向き合うことが出来るのか。その意味は何か。フラ ンク氏の思想の全体像が分かる。
 想像を絶する苦難にあって、どうやって希望を持ち続けることができるのか。心を打つ名著。
 「人生は、あなたを決して捨ててはいないはずです。
 あなたを必要とする何かがあり、あなたを必要とする誰かが必ずいる」

タグ :

20世紀の宗教・思想書100選 パート(7)No60-56

 2009-05-22
 しばらく休みました『クリスチャニティ・トゥデイ誌』が選んだ宗教思想書100選シリーズ第7弾です。
 各書の解説は、ネット上の資料をもとに、自分なりに短くまとめたものです。
 冒頭の番号は、「パート(1)のベスト10」だけが順位を示します。残りは、何冊目かを示すカウントダウンです。

60 『キリストと文化』 H.リチャード・ニーバー 著  赤城 泰 訳 日本キリスト教団出版局 (2006/02) Christ and Culture by H. Richard Niebuhr
 ニーバー(1894-1962)は、「静穏の祈り(平和の祈り)」で有名なラインホルド・ニーバー(1892-1971)の兄弟で、20世紀のアメリカの神学者。彼は本書で、キリスト者のこの世界との関係を五つの型に分類した。

1)「反文化的キリスト」 文化を徹底的に否定
2)「文化のキリスト」 信仰と文化を同一に見る。この世と妥協する。
3)「文化の上に立つキリスト」文化は理性、信仰は啓示として二つに切り離す。
4)「矛盾におけるキリストと文化」 ルターの「二王国説」が典型。キリスト者は「神の国」と「地の国」の両者に属し、両者に従順であることが求められ、葛藤がある。
5)「文化の変革者キリスト」 文化を否定せず、「神の国」と「この世」に分断されていると考える。現代の文化の中で生きながら、キリストのみこころを識別し、選択することが求められる。

 ニーバーは、この5)のありかたを推奨しています。
 最近、『アメリカにおける神の国』H・リチャード・ニーバー著(聖学院大学出版会、3,150円税込)が発売になった。

参考 ニーバー兄弟について
現在、よく話題の 「レスポンシビリティとアカウンタビリティ」についても先駆的に述べている。

59『イエス像の二千年』(講談社学術文庫)  ヤロスラフ ペリカン 著 Jesu through the Centuries by Jaroslav Pelikan(1923年-2006年)
 アメリカの神学者。マルティン・ルター全集(通称ペリカン版)の編纂者。
イエス像の二千年 (講談社学術文庫)イエス像の二千年 (講談社学術文庫)
ヤロスラフ ペリカン Jaroslav Pelikan

講談社 1998-09
売り上げランキング : 504561

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


(出版社の紹介より抜粋)
イエスは2千年にわたり、その生涯と教えをとおし、人間の存在や運命についての最も根本的な問いへの答えを、時代に応じて表現してきた。本書は、各時代の特徴を語るさまざまなイエス像を浮かび上がらせ、歴史の中に位置づけ、その時代の精神を明らかにした稀にみる労作。
 現在、『キリスト教の伝統 教理発展の歴史』のシリーズが教文館から刊行中。

58 『善人はなかなかいない フラナリー・オコナー作品集』 著、横山 貞子訳 A Good Man Is Hard to Find by Flannery O’Connor
善人はなかなかいない―フラナリー・オコナー作品集善人はなかなかいない―フラナリー・オコナー作品集
フラナリー オコナー Flannery O’Connor

筑摩書房 1998-05
売り上げランキング : 250669

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


「MARC」データベースより
自分の都合で誰かが邪魔だと思い、その人にいなくなってほしい、との思いから殺人を行う主人公たちを描く5篇を収録。短編の名手による、暴力と殺人とユーモアと恩寵。

 著者( 1925-1964)はアメリカ人。大学生のころから小説を書き始める。アメリカ南部に暮らす人々を描く。かなりユニークなカトリック教徒。紅斑性狼瘡という難病で、39歳で亡くなる。フィリップ・ヤンシーは自分の著作で彼女によく言及している。多くの著作が訳されている。(私は読んだことありません。誰が読んだ人いますか?)

57 『聖なるもの』 (岩波文庫)  ルドルフ オットー 著 山谷省吾訳 (Rudolf Otto 1869年-1937年 The Idea of the Holy)
聖なるもの (岩波文庫)聖なるもの (岩波文庫)
オットー 久松 英二

岩波書店 2010-02-17
売り上げランキング : 80599

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 ドイツのプロテスタントの宗教哲学者。キリスト教というより、哲学から宗教を見たらどうなるということを研究。宗教史をたどって、神聖なるもの、聖なるものへの感情を「ヌミノーゼ」と名付けて聖なるものの概念を追求。
 神秘学、罪、宗教哲学概説、インドの神話学についての著作もある。非合理的で情緒的なものこそが宗教の中核を成すとして、以後の宗教研究に大きな影響を与えた。
(この本は、ずいぶん前から岩波文庫にあることは知っていましたが、読んではいません。日本でも知られた本ですね。興味深いです。)

56 『アガペーとエロース 基督教の愛の観念の研究』(新教出版社)ニーグレン著 岸 千年、大内 弘助訳 (Agape and Eros by Anders Nygren)

 50年くらい前に邦訳が発行。現在、図書館か中古でしか手に入らない。スウェーデンのプロテスタントの神学者。その他彼について日本語資料はあまりない模様。
 (以下のブログーリンク先参照ーで、この本のよい紹介がありました。ここでのエロースとは、現在の俗説でなく、哲学におけるエロースのこと。

「Good News Collection」
アガペーとエロース その1
 基本的な語意、定義
アガペーとエロース その2

 エロースとアガペーの対比が面白い。
その中から、一部抜粋

エロースは、自己のための善の欲求である。
アガペーは、自己を与えるものである。
エロースは、上昇せんとする人間の努力である。
アガペーは、上から降ってくる。
エロースは、人間が神に行く道である。
アガペーは、神が人間に来る道である。
エロースは、人間の功績であり、救いを得ようとする人間の努力である。
アガペーは、無代価の賜物であり、神の愛のみ業である救いである。(以下略)

こんなまとめも書いてありました。

「エロースの見地からは、善悪の倫理的二元論の背後に、精神と物質の形而上的二元論が存在している。(略)従ってエロースの倫理は決まって禁欲主義に向かう傾向を示す。アガペーの倫理において、罪は霊魂が肉体のうちにあることと何の関係もない。罪は神に対する不従順と神を拒否することにおける意志の堕落である」
詳しくは上のリンク先へ。

タグ :

20世紀の宗教・思想書100選 パート(6)No65-61

 2007-08-07
 久しぶりに、『クリスチャニティ・トゥデイ誌』が選んだ宗教思想書100選シリーズ第6弾をお届けします。
 各書の解説は、ネット上の資料をもとに、私なりに短くまとめたもの。
本タイトル冒頭の番号は、「パート(1)のベスト10」以外は順位ではありません。残り何冊かを示すカウントダウンです。
 
65 ローランド・ベイントン著 『我ここに立つ マルティン・ルターの生涯』 青山一浪、岸千年訳(聖文舎、1954初版、1962再版、625頁) 現在入手困難
 Here I Stand by Roland bainton

 宗教改革者ルターについての代表的な伝記。彼はローマ皇帝の裁判に立たされたとき、こう言った。「わたしは聖書と明白な理性によって確信するのでないかぎり、教皇と教会会議の権威を認めません。わたしの良心は、神のことばにとらわれているのです。わたしは何も取り消すことはできないし、取り消そうとも思わない。なぜなら良心にそむくことは正しくないし、安全でもないからです。神よ、わたしを助けたまえ。アーメン」
 有名な言葉ですね。とくに、そのとき語られたとされる「我ここに立つ」は、ベイントンによると、その場で語られたものでなく、あとから加えたものらしい。
 最近、ローマ教皇がプロテスタントは「教会として認めない」という文書を発表して論議を呼んでいますが、いまもって、ルターの宣言が意味をもっている現状を見ます。ルターについては、いろんな伝記が出ていますが、本書は第一にあげられる書。

64 ウィラ・キャーサー著 『死を迎える大司教』 刈田元司 訳(荒地出版社 , 1957年 477p)現代アメリカ文学全集 /2 刈田元司 [ほか] 編
Death Comes for the Archbishop  by Willa Cather(1873-1947)

 19世紀、ニュー・メキシコの砂漠地帯に、ヨーロッパからやってきた二人の神父が、孤独と苦しみをへながら使命をまっとうし、大聖堂の中で死を迎えるというもの。ナバホ・インディアンをはじめとする初期アメリカの風土が描かれていて、植民地時代のアメリカやキリスト教が伝わる以前のニュー・メキシコを舞台に繰り広げられる小説。
 世界的なヴァイオリニスト五嶋みどり氏は、この著者の作品が大好きだと公式サイトで述べています。

63 アニー・ディラード著 『ティンカー・クリークのほとりで』金坂留美子、ぼたのぞみ訳 (めるくまーる社)
Pilgrim at Tinker Creek by Annie Dillard

 1975年度ピュリッツアー賞受賞作。アニーは20歳で都会の喧騒を離れ、ヴアージニア州の山あいの小川のほとりに一人移り住んだ。ひたすら自然を見つめていると、素朴な常識をはるかに越えた、なにやら不条理なものが見えてくる。生命の奇怪な豊饒さ、残酷さ、美しさ。自然はなぜこれほどまでに複雑なのか。(アマゾンの紹介より)

 命とは何か、死とは何か、世界とは何かを執拗に追及し続ける鮮烈な書。「空が澄み切って美しいのは、山が高いのは、生命の力ではなく、死の力だ」と言い切る。産まれ、死んでいく生物の無意味さ、それがなぜなのかと厳しく問いつめていく。大変、魅力的な本らしいです。

62 ラルフ・エリソン著 『見えない人間』(1)(2) 松本望訳(南雲堂フェニック)

Invisible Man by Ralph Ellison

 白人中心の文化にとって見えない存在であるアフリカ系アフリカ人の苦況を、人間のアイデンティティの追求という、大きなテーマに結びつけた小説。
 主人公の「僕」は、ニューヨーク・ハーレムの廃墟になったビルの地下室の穴ぐらに独りで暮らす黒人青年。「私は、家賃無しでビルに住んでいます。そのビルは白人専用です。ビルの地下に住んでいるのですが、そこは外界から閉ざされ、19世紀の間、人から忘れられたところです」という語りで物語は始まる。

61 ジャック・エリュール著 『技術社会』上・下 島尾永庚他訳(すぐ書房)
The Technolgical Society by Jacques Ellul

 著者はフランスの哲学者、社会学者、神学者、歴史学者。ボルドー大学教授。アナキスト(無政府主義者)と言われる。40冊以上の本を書き、現代の科学技術について、もっとも深遠な考察をした哲学者の一人。技術の発達が、キリスト教信仰と自由を圧殺しかねないとしている。
 人間は信仰を必要としているが、宗教や政治で、信ずるに足るものが提示されなくなっている現代にあって、技術がめざましい進歩を提供しているかに映ることへの警鐘。
 エリュールは、欧米でかなり有名な人らしいですが、日本のキリスト者の文献にあまり引用されないのはなぜでしょう。難解だからでしょうか?

 以上の五冊のうちどれかを読んだ方がいましたら、感想をコメントいただけるとうれしいです。私はまだどれも読んでいません。


タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。