fc2ブログ

アンドリュー・ワイエス展に行ってきました

 2008-12-08
 先週末、アンドリュー・ワイエスという、私の好きな画家の展覧会に行ってきました。いまもご存命のアメリカ人です。
 私は30年くらい前から心を引かれて注目してきたのですが、まとまった展覧会で原画を見たのは初めてでした。

 今回、仲間と連絡し合って、7-8人で、金曜日の午前中を狙って行きましたが、ほんとにすいていて、ゆっくり鑑賞することができました。今回は有名な作品より、地味な作品が多かったことにもよると思います。

 その特徴は、静けさにあると思います。人気のない、寂れた、絶え果てたというか、さっきまで人がいたような、いないような。。。と思わせる、しんとした風景。しかも、細密な素晴らしい技術による画筆。

 扱っている題材は身近なありふれた風景の一瞬です。しかもそれが永遠を映し出しているような、はかない一瞬のような、画家の目から捉えた現実。

 そこには、きわめて個人的な記憶も、親しい人への追憶もこめられているようで、なぜか心に響いてくるものがあります。感情の抑えられた落ち着き、なつかしさ、せつなさ。。。自分の人生でも、ふとながめたことのあるような世界がそこにあります。
 
 友人たちと行くといいですね。観賞後、それぞれの感想を分かち合って、さまさまな気づき、発見がそれぞれにあることを知って、小さな驚きでした。彼は小さいころから病弱だったそうです。そして、突然の事故で父を失ってから、作風が変わったのだとか。
 病弱だったのに、91歳の現在も御元気なご様子を館内の映像で見ました。

 昨晩、NHK教育で、特集番組があったのに見逃しました。残念。
 感動巨編『篤姫』を見ていて気づきませんでした(汗)。

関連記事
タグ :
コメント
Wyeth、亡くなりましたね。

今朝のわが家の一番の話題でした。
Christina's Worldを去年の夏、MoMAで観て来たばかりだったので…

ワイエスは、うちの夫が好きな画家でもあったので、残念です。
【2009/01/17 02:06】 | はちこ #79D/WHSg | [edit]
そうですね。朝刊に載っているのを目にしました。ご主人もワイエスが好きだったのですか。

展覧会で見つけた彼の言葉
「私は季節の中でも秋と冬が好きだ。風景の中にある骨組みや孤独感、死に絶えているような雰囲気、何かがその下に隠れていて、物語の全ては明らかにされていない、そんな気がするのだ」

無人で、荒涼としてて、いまは死に絶えているようだが、その下で、何かが胎動しているような世界・・。死と復活の世界とも言えそうです。

新聞では、代表作は、草原をはう女性の後ろ姿を描いた「クリスティーナの世界」が挙げられていましたが、今回実物を見ることができました。
私は単なるポーズをとっているのかと思ったら、クリスティーナは子どもころから足を病んでいて、体を引きづって生活した人だったことを今回知りました。野菜をとりにいった帰りに、体を引きずって家に帰ろうとする風景の一瞬をとらえたのです。胸をつかれるような画家の視点でした。

【2009/01/17 13:51】 | クレオパ #79D/WHSg | [edit]
クレオパさん!今年もよろしくお願いします。
昨年秋はピカソにフェルメール、ワイエスなどなど見たい展覧会が目白押しだったのですがもろもろ都合がつかず、都内の美術館には足を運べませんでした。
代わりに埼玉県立近代美術館に行く機会がありました。ここには私の好きな彫刻が三体吹き抜けの底に立ってます。三体ともキリスト教モチーフで、舟越さんの「ダミアン神父」、ほかに作家名忘れましたが「枢機卿」「マグダラのマリア」です。ここで静まりの時を持つのがお気に入りです。。ほんとはちょっと内緒にしておきたいくらいです。
浦和福音自由教会のすぐ手前北浦和公園の中にある美術館です。ちなみにこの彫刻がある場所は一般展示室の前室のようなところ?なので、これを見るだけなら無料です!
【2009/01/18 09:35】 | はいじ #79D/WHSg | [edit]
本題はこちらでした・・・。

昨日、現在文化村で公開中の「クレーとピカソとその時代」展に行きました。あまり期待していなかったのですが、良かったです。マン・レイの「詩人、ダビデ王」とカンディンスキーがエリヤを題材にした作品3点、あとクレーも何点か心に残りました。バウハウスもそうですが20世紀初頭の芸術家たちは交わりの中で作品を発展させていったのですね。藤掛先生がよくおっしゃる「相互作用性」と「多義性」をたくさん感じました。
また、今回は改修中のドイツの美術館の収集作品が来ているそうなのですが、この美術館は第二次世界大戦の償いとして、国外から放出されていたクレーの作品を州議会の反対を押し切って大量に収集したそうです。このエピソードには静かな感動を覚えました。
【2009/01/18 09:38】 | はいじ 続き #79D/WHSg | [edit]
「国外から追放」ではなく「国内から追放」ですね・・。失礼しました。
【2009/01/18 09:43】 | はいじ 訂正 #79D/WHSg | [edit]
はいじさん、今年初コメントありがとうございます。
本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

埼玉近代美術館は行ったことがあります。近くの教会に行く用事があったときに、寄ってみました。そのときは、デューラーのエッチングの展覧があり、面白かったです。

たしかダミアン神父の像も見たような気がします。存在感のある彫刻が無言で立っている姿を見ながら、人間の苦悩やら何やらいろいろと伝わってきて、自分のあり方を、やはり無言で捉え直すような境地にさせられますね。

そう、そう。クレーの展示会があるらしいことはポスターで見ました。
そうですか。よかったですか。カンディンスキーもなぜか好きですので、一緒に見られるのはいいな~。

芸術家も、相互作用で大きくなったのですね。作業は孤独だから、それ以外では出会いを求めるのかもしれませんね。

ドイツの収集事情を教えてくださり、ありがとうございました。そうしたエピソード一つ知るだけで、作品が生まれた歴史、それをめぐる奥行きが見えてくるから不思議です。
【2009/01/18 19:39】 | amen-do #79D/WHSg | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://amendoblog.blog137.fc2.com/tb.php/242-1b9b43be

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫