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印刷直前のチェック

 2010-03-16
印刷所に渡す資料
 新刊書はすでに印刷所にデータが渡って、印刷作業に入っています。印刷所に渡すためには、「本文のプリント見本」「装幀用データをおさめたCD」「印刷のための指示書」「印刷機にかけるための台割帳」を用意する必要があります。

 二、三日すると「白焼き」(ひと昔まえは「青焼き」)という、製本前の本のようなプリントが、下の写真のように届きます。それと同時に、カバー、表紙、扉、帯、本に挟むスリップ、読者用ハガキなどを簡易印刷したものも一緒。
 
 これらをまた、一日かけて慎重にチェックするのですが、スリリングなのは本文の部分(白焼き)です。1頁、1頁づつ、果たして意図したとおり配分されているかチェックします。プロの印刷所なので、だいたいは間違いありませんが、この作業を踏むことは、完成したのちにミスが発覚した場合、こちら側も確認してオーケーを出したのだから、こちら側の責任もあるという、印刷所側にとっての安全策でもあるわけです。

 かなり枚数があるので、それなりの時間がかかります。今回は、二回、目をとおしました。この段階では、文字を読むことはほとんどしません。

人間は神ではない 
 修正箇所がなければ、これらの見本をすべて印刷所に戻し、本刷りになります。今回は五、六箇所の小さなミス(内容に影響しない)を発見したので、修正をお願いしました。

 修正作業が入ると、果たしてそれが修正できたかをチェックする作業が加わります。そこで再度、この製本前のようなプリント見本(修正部分の前後のみ)が提供され、修正箇所に目を通します。

 こうした確認作業は、「人間はミスをおかす存在だ」という経験知から出てくるプロセス。多額な投資をするために、慎重に、慎重に、ミスをおかさないよう作業しますが、こうしたプロセスを踏んでも、残念なことに、やはりいくらかの小さなミスは生じます。

 編集者のメンタルヘルスのためには、「ベストは尽くすものの、神様ではないのだから小さなミスはつきもの」と腹をくくるくらいです。
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コメント
なるほど~、こういう行程を経ているのですね。
いつもは、最後の原稿をお渡ししたら、次は出来上がった本を見るまで、途中で何が起きているのか知らなかったのですが、今回はいろいろ教えていただき、本当に勉強になっています!

「ベストはつくすが、神様ではないのだからミスはつきもの」 
アーメン!
【2010/03/16 23:54】 | はちこ #79D/WHSg | [edit]
全く知らなかった舞台裏です。訳者はソフト面に集中していますが編集者はハード面もカバーしているということですね。ミスがつきものだからこそ精一杯の仕事をしなくてはと気を引き締めました。
【2010/03/17 08:59】 | マッシュ #79D/WHSg | [edit]
はちこさん。
PCでDTP作業ができるようになってから、編集者の仕事が増えました。印刷直前まで管理できるのはコスト削減につながり(その代償として作業時間が増大)、よい反面、技術を取得する必要が生まれ、目を酷使することになります。楽しい面も多いですので、なんとか耐えられます。
こうしたことをアウトソーシングする出版社も多いと思います。
【2010/03/17 12:03】 | amen-do #79D/WHSg | [edit]
マッシュさん、
訳者さんが知らないことはまだまだ多くありますよ。出版社は、毎日の業務に追われ、そうしたプロセスを解説する時間とれないですが、奥が深いです。業界用語がたくさんありますし、技術革新が進むとなおさら。
ただ、訳者、著者は、こうした概要を知っていると役立つでしょうね。
【2010/03/17 15:35】 | amen-do #79D/WHSg | [edit]
「小さなミスはつきもの」、うぅ~ん。この言葉いただいちゃおうと。自分が編集事務をしている紀要が先週、印刷所から届きました。そして、見つけてしまいました「間違い」を。ただいまシール貼り作業中。いつのまにか太っ腹になってきてます。出版社編集者の腹のくくり方にはおよびませんが・・・
【2010/03/17 22:26】 | 大作 #79D/WHSg | [edit]
大作さん、「間違い」に気づくと落胆しますよね、ほんとに。内容に気を使うと表記にミスを見逃す。表記に気を使うと、意味を見逃す。。ページから目を離してちょっと他に気をとられると、小さな誤字を見逃す。。。とほほ、です。いくら集中していても、見落とす。他者の助けが必要です。
【2010/03/17 22:33】 | amen-do #79D/WHSg | [edit]












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