FC2ブログ

対談:『クリスチャンであるとは』発行後、半年たって(3)

 2015-12-21
上沼師へのインビューは今回で最終回です。

話し手:上沼昌雄(訳者。聖書と神学ミニストリー代表。神学博士。在カリフォルニア州)
聞き手:小渕春夫(編集者、あめんどう代表)
日時:2015年12月10日


聖書の無誤性、無謬性というテーマ

---今年の夏、上沼さんがいらしたとき、日本でのもう一人のN.T.ライトの紹介者、
小嶋崇牧師の教会で集まって、小さな祝いのときを持ちましたね。そのとき、
中澤啓介牧師がいらしてました。かつて35年前、聖書の無語性、無謬性について、
論争をし合った仲間だそうですね。

 私はその場にいて、その背景をまったく知らなくて、あとで知って少し驚きました。
N.T.ライトが取りもった再会だったと言えそうです。歴史的瞬間に私は立ち会ったようです。(笑)

 本書のなかには、伝統的理解になじんでいる人に物議をかもしそうなことがいくつか出てきますが、
「無誤、無謬論」もその一つです。そこにひっかかり過ぎると、聖書全体が伝える物語から離れた
果てしない議論になってしまう。否定はしないが、あえてその用語を使用しないとライトは言っています。
いまは上沼先生も、それに同感しているのですか?

〈上沼〉そうです。私がしていた無誤性の議論は、あくまで神学として議論
したつもりだったのですが、それが広く教界内に広がって、それを認めるか認めないかで、
福音主義かそうでないかとう言い方をされるようになっていきました。それを見て、
「明らかに違うところにきてしまった」と思いました。

---それはたしか、1980年前後だったでしょうか。私はまだそういう信仰をもって間もない初心者でして、
先輩が話していた「ムゴ、ムビュウって何?」と、ちんぷんかんぷんでした。
ただその影響下で育ってきたわけです。

〈上沼〉無誤性のこともありますが、救済史のことで村瀬俊夫牧師とも議論しました。
救済史と一般の歴史学がどうかかわるかが曖昧で、むしろ別々なものになってしまうという問題が
ありましたが、いまでも問題はそのまま残っています。
 N.T.ライトは、創造と新創造の間に一般の歴史が入るという言い方しています。
ですから彼の神学は、簡単に救済史と言ってしまうと誤解してしまうと思います。


義認論と和解論の和解

---上沼さんの今回の講演の中で、「義認論と和解論がN.T.ライトの中で和解している」という
面白い言い方がありました。

〈上沼〉
そうです。義認論と和解論というものがありますが、義認論だけを学んでいる人は、
なかなか和解論と調和できないでいます。義認論のほうがどうしても前面に出てきて、
和解論が後退してしまいます。一方、和解論を議論しようとすると、すぐにバルト神学に
移っていくしかありませんでした。これまで、義認論と和解論をどう調和させるのかは、
あまり考えられていないのです。

---では、N.T.ライトはそれをうまくつなげているというわけですか?

〈上沼〉はい、そうです。つながっています。ものの見事につながっていますね。
というのはこれまでの神学では、義認論の対象は人間だけですし、和解論となると、
その対象は万物になります。

---義認論は人間と神との関係だけで閉じられてしまって、そこに万物が入ってこない、
ということですね。

〈上沼〉そうなんです。和解論には万物が入り、そのなかに人間も入っています。
N.T.ライトの場合は、その意味であきらかに和解論を前提に神学のテーマの全部を扱っていることになります。
karl-barth-150x150.jpg
---私はそれほど神学知識がないので、よく分からないのですが、
バルトを初め過去の大神学者も調和させることができてなかった、
ということですか?

〈上沼〉そうです。アメリカに移住する前の日本で気づいたことですが、
和解論について議論すると、すぐにバルト神学に行かざるをえないので、
当時の私は「和解論」という言い方はほとんどしませんでした。
でもいまは、バルトは神学シーンで背景に後退しきたために、
言葉にできるようになりました。


神の宣教(ミッション・オブ・ゴッド)という視点

---ということは、義認論、和解論という言葉でなく、新たな言葉が必要とされている
ということでしょうか?

〈上沼〉言うことができるとしたら、N.T.ライトが言うように、
「レスキュー・ミッション」ですよね。

---それは救済論にまとめることができるという意味ですか? つまり、救済論のなかに、
義認論と和解論が吸収されるということでしょうか? すみません、神学知識が弱いので、
見当違いのことを言っていると思いますが。

〈上沼〉いいえ、むしろ神のミッション(宣教)のなかに、
救済とミッションが一緒になっていて、その救済論のなかに、義認論と和解論が一緒になっている
と言えると思えます。
 そう言えるのは、神のミッションの最終目的が新創造であるからです。

---う~ん。そうですか。そして、そこから聖書をどうとらえるか、どう読むか、
どのような権威があるかを見ていくわけですね。

〈上沼〉そうです。N.T.ライトは本書で、天地創造から始まってイスラエルの歴史に入り、
新約ができるまでのことを説明していきますよね。 新約が書かれた紀元1世紀 の人が聖書の権威を
どのように見ていたのかを説明しています。聖書の無誤性とかのアプローチは、ずっと後の20世紀
の人たちによって出てきました。それを聖書に適用することに慎重な姿勢を示しているわけです。

啓蒙主義の呪縛か逃れるという課題

〈上沼〉ですから、その問題を本書で言っている程度でおさめておくことは、
N.T.ライトのすごい知恵だと思いますね。聖書が書かれたとき、人々がどうとらえていたか、
どういう権威を認めていたかを述べているだけです。

---すなわち、過去、福音派が距離をとってきたリベラル神学への態度、
そこへの反動として聖書の権威づけは、リベラル神学と同じ啓蒙主義的、
合理主義的なアプローチであったということですね。
そして、その理解の中に、巧みに反ユダヤ主義も紛れこんでいるという。

〈上沼〉そうです。そういうことですね。そしてその指摘を、たしかに
そうだとして私たちが認めることができるか。それが、今の私たちに問われていると思います。

---そうなると、欧州産のキリスト教神学には、とんでもないものが紛れこんでいるということですよね。
こんなことを言っていいのかな~。(笑)

〈上沼〉そういう歴史をN.T.ライトは全部わかっていて、ヨーロッパ人として
格闘しているのではないでしょうか。彼は、キリスト教なるものが、これからも真に意味あるもの、
命あるものとして存続できるかというテーマを、キリスト教会の衰退が著しい欧州で、
命がけで取り組んでいるのではないでしょうか。

---さまざまな異論はあるにしても、彼がもたらすものは非常に魅力的で、スケールが大きい。
しかも、それを取り入れるのに時間がかかります。私たちは、いまだに啓蒙主義的理解に
捉えられていますから。それを問いつつ、思索を深め、識別し、信仰生活に活かしていく
ことが求められますね。

 今日は、長時間、ありがとうございました。しばらくは疲れをとり、また来日の際には、
いろいろ刺激を与えてくださいますようお願いいたします。(完)

参考:ヨーロッパの啓蒙時代、思想、思想家
関連記事
カテゴリ :N.T.ライトの神学思想 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

対談:『クリスチャンであるとは』発行後、半年たって(2)

 2015-12-17
話し手:上沼昌雄(訳者。聖書と神学ミニストリー代表。神学博士。在カリフォルニア州)
   取材:小渕春夫(編集者、あめんどう代表)
日時:2015年12月10日

(記事中「本書」とは『クリスチャンであるとは』を指す)


旧約におけるイスラエル民族の位置

---本書の翻訳出版はあしかけ3年かかりましたが、上沼さんの聖書理解において、
何か大きな意識改革がありましたでしょうか?

〈上沼〉まず目が開かれたのは次のことです。神はご自分が創造した世界を
救出するためにアブラハムを選び、この世界に遣わし、契約を結びました。
 しかし、彼と、それを引き継ぐべき子孫、イスラエルの民自体が、救出を必要とする
存在になってしまったという指摘です。「神はどうしたらよいのだろうか」という
N.T.ライトの問いが、何度か本書に出てきます。それに対し、神ご自身がうめいておられること、
それは闇とは言えないにしても、N.T.ライトの神学全体が、それをとても重要視して
いることに気づきました。

 それと闇について書いた拙書『闇を住処とする私、やみを隠れ家とする神』(いのちのことば社)が、
私のなかで結びきました。今回、日本に行って、自分から言わなかったのに、
それを指摘してくれた方がいました。それが、私個人にとって一番大きな発見でした。

---ほう、そうですか。個人的神学遍歴というか、上沼神学と結びついたのですね。


歴史的な反ユダヤ主義との対峙、闇の問題

〈上沼〉あとは本書の第6章「イスラエル」で、N.T.ライトが反ユダヤ主義について
書いていますね。ライトは欧州人としても、キリスト教二千年の歴史のなかで、
その闇をきちんと見ていることへの気づきも大きかったです。

---それが、上沼さんが前から影響を受けているユダヤ人哲学者、レヴィナスの思想と
結びついたのですね。

〈上沼〉はい、そうです。私はいわば、レヴィナスを通してN.T.ライトにたどりついた
面があります。
 レヴィナスはユダヤ人哲学者として神の民の歴史を見たとき、その背景に神のうめきを
聴き取っているのではないかと思います。
 これはあくまで私の個人の関心事なのですが、いつか自分でまとめてみたい気がします。

---ユダヤ人として生まれ、その歴史的背景で活躍したイエス・キリストの存在。
欧州に根強かった反ユダヤ主義、20世紀のホロコーストの言語に絶する恐ろしい虐殺の現実。
それに対するN.T.ライト自身の神学者としての苦悩。なぜ欧州のキリスト教会が反ユダヤ主義
を容認したか、いや生み出したか、という深刻なテーマがありますね。

〈上沼〉本書12章「祈り」で、ローマ8章の御霊のうめき(P.229)をとても重大なもの
として書いていることは注目してほしいです。その重大性が、私のなかで明確になってきました。


創造と新創造という大パノラマ

---ほかにも、大きな意識改革と言えるようなものはありましたか?

〈上沼〉最初に触れましたし、何度もセミナーで触れたことですが、創造と新創造という
大パノラマです。それは、私にとっても大きな意識改革になりました。そして、この世界で
生きることために、もう少しそれを分かりやすく解説する必要があると思いました。

---そこには、西洋的キリスト教に深く混入しているギリシャ的二元論、とくに日本の福音派
に深く浸透しているある種の終末論、聖書解釈、その適用の捉え直しが含まれてきますね。
それらとどう対峙し、それを克服していくか。

〈上沼〉そのとおりです。それは大変なことですが、自覚的に取り組んでいく必要があります。
N.T.ライトが言う「天と地が、重なり合い、かみ合っている」という意味を真剣に捉えていく
必要がありますね。校正MG対談


日本伝道会議のC.ライトとN.T.ライト

〈上沼〉ところで、来年の九月に神戸での日本伝道会議で、
もう一人のライト、同じイギリスの神学者クリストファー・ライトが
招かれていますね。彼の神学思想であるミッション・オブ・ゴットについて
の論説が、最近、米国の福音主義を代表する雑誌「Christianity Today」11月号に掲載されていました。

---日本では数年前、その邦訳『神の宣教』第一巻(いのちのことば社 2012)が出ました。
そして、次の日本伝道会議に合わせて残りの二つの巻が出るのではないでしょうか。
 世界的にすごく評価の高い本ですよね。第三回ローザンヌ会議(ケープタウン 2010)の主講師で、その後の来日に合わせて上巻が翻訳出版されたと聞いています。


〈上沼〉N.T.ライトもミッション・オブ・ゴットについて講演しています。
ほとんど内容が同じなのです。クリストファー・ライトは、ミッション(宣教)と
エシックス(倫理)を結びつけています。アブラハムの神からの召し出しがミッションの
始まりであり、中核であるという理解です。CT誌を読みながら、それにN.T.ライトの神学的展望を
合せて紹介できたらと思いました。

---教会が担うミッションをどう捉えるかですね。牧会もそのなかに入ってくるでしょう。
「神の宣教」と「創造と新創造」の大パノラマが結びつき、それが私たちの生活での実践と結びつく。
そうなれば、知的理解にとどまらないかという懸念のブレークスルーになりますね。


「ストーリー」か「物語」か?

〈上沼〉12月に出るNTPGでは、Storyの訳語に「ストーリー」を採用しているようです。
今回のN.T.ライトの本でも、「ストーリー」か「物語」か、何度も討議しましたね。
 今回は意図して「物語」とし、類語であるNarrativeはカタカナで「ナラティブ」としています。
今後どちらに落ち着くか興味をもっています。小渕さんはどう思いますか?

---私は学者でないので、はっきり言えませんが、一長一短があるにしても、今は「物語」でも
「ストーリー」でもいいと思います。「物語」にまだ戸惑う人もいるようです。
『竹取物語』のように、作り物という印象を強く受ける人がいるのです。
 これは、時間をかけてどう浸透していくかだと思います。さまざまな文脈で用いられて、
どちらかに落ち着いてくるのではないでしょうか。

〈上沼〉哲学の分野も、20世紀的なシステム思考が崩れてしまったいま、次には「物語」
がくるとして、すでに使用されています。一般で影響力の強い村上春樹も頻繁に「物語」を、
小説だけを指すのでなく、現実の人生を表すのに使っていますね。
(続く)
関連記事
カテゴリ :N.T.ライトの神学思想 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

対談:『クリスチャンであるとは』発行後、半年たって(1)

 2015-12-15
N.T.ライト著『クリスチャンであるとは〈SimplyChristian〉』が出て半年以上がたちました。
そこで、翻訳者である上沼昌雄師に、Skypeを用いてインタビューしました。
三回にわけて掲載いたします。

話し手:上沼昌雄(訳者。聖書と神学ミニストリー代表。神学博士。在カリフォルニア州)
   取材:小渕春夫(編集者、あめんどう代表)
日時:2015年12月10日

(記事中「本書」とは『クリスチャンであるとは』を指す)
校正SC対談

---おはようございます。こちらは朝ですが、カリフォルニアは夕方ですね。
寝ぼけた声ですみません。しばらくインタビューさせてください。

 今年の7月と10月と二回、東京で計5回、札幌から熊本を含めると全部で10カ所以上、セミナーを開いてこられました。

 いまふり返って、そこでの反響やその後、気づいたことなど、
どのようなものがあるでしょうか?


地域差がなくなっている

〈上沼〉まだしっかり読んでいない人も含め、関心がかなり高いことがよく分かりました。深く読んでいる方は、とても反応がよかったですね。

 全国を回って感じたのは、地域差がなくなってきたことです。
かなり遠い田舎の先生が一生懸命読んでいたり、よい質問をしてきたり、
関心のある方は地域に関係なく、出版前からよく情報を得ていらっしゃいました。

---今はインターネット時代ですからね。地理的な情報格差が
なくなってきているのをひしひしと感じますね。

〈上沼〉そういうわけで、地域差より関心の差で情報の受け方が違ってくるということですね。
これからの課題は、どういうふうにN.T.ライトの神学が浸透していくかです。あちこち移動
しながらのセミナーでしたから、その後どうなっていくかと。

 その課題の一つは、彼が提示している聖書理解の全体像、創造から新創造という
大きなパノラマが、牧会現場や信徒の生活でどう活かされていくかです。

 今回は本の内容説明が中心だったのですが、実際、それを信仰生活にどう活かしていくかを、
今後丁寧に提示していくことが必要だと思いました。

 ある地方都市の牧師は、実によく学んでいて、私の知るかぎりですが、
日本でいちばん牧会に生かしているのではと思いました。そこでもセミナーをさせて
いただきましたが、そこの信徒さんが参加していて、よく理解しておられました。
ふだんの説教をとおして浸透しているのだと思います。

 今後は、そうした人のために、サイドに立って助ける役割の人や資料の必要を感じました。


N.T.ライトに学ぶ人と、遠くから警戒する人

---かなり前からN.T.ライトに関心を持ち、外国の神学校で学び、
原書をかなり読みこんで役立てている指導者が何人かいらっしゃいますね。

 伝統的な教団の神学の枠組みを越える魅力があるのは、ライトがこれまでにない、
聖書理解の根本的な見直しを提供しているからなんでしょうね。しかも、全体の見通しを
驚くほどよくしてくれるものがあります。

〈上沼〉ただ、これまでの伝統的理解にいる人が戸惑ったり、
抵抗感を感じたりする反応も出ているみたいです。

---説教に活かしている方がいる一方、警戒的な方もいますね。入門的なネット情報だけで
「ライトは間違っている」「聖書に反している」と反応する人もいます。

 私もまだまだ理解の途上ですが、これまで聞いてきたことと異なる理解や、
そのユニークさにあっけにとられることがあります。疑問や問いが出されるのは、
議論が深まるためにいいことだと思います。


牧会的、宣教的に今後どう受容していくべきか

〈上沼〉私が今回気づいたのですが、知的理解は必要ですが、たんに知識だけで終
わってしまわないかという心配があります。

---そうですか。ただ、学んでいくうちに、新しいアプローチが身についてくれば、
自然と生活につながっていくこともあると思いますが。
 まずは正確に知ることが大切でしょう。ある程度距離をとって、批判的に検討す
ることも必要ですし。

〈上沼〉ええ、それはそのとおりですが、単なる知的楽しみで終わってしまわない
かと。「ああ、彼の神学はこういうことなのか」で止まってしまわないか、という
懸念です。

---知的満足で終わる人、理解しても自分は変わりたくない人、また、変わりたく
ても、どう変わったらよいか分からないという人に分かれてくるでしょうね。

 牧会上の適用で以前からの懸念は、とくに天国理解がありますね。その修正を迫
られるので、死に臨んで、永遠の天国に慰めを得ている人に、どう接したらよいかという。
讃美歌、聖歌、ゴスペルソングの歌詞にも、それは影響しています。
 NOPG上沼対談
 それ以外の懸念を示す人にも、今度出たライトの主著『新約聖書と神の民』上巻(NTPG=The New Testament and The People of God 新教出版)によって、彼の深い学術的理解、信頼性の高い神学の奥行きを知ることができるといいですね。

〈上沼〉そうですね。NTPGは高度な学術書ですから、その理解のために
『クリスチャンであるとは』でN.T.ライトの理解する聖書の全体像をつかんでいると助けになると思います。それを踏み台にNTPGチャレンジするといいでしょう。

『クリスチャンであるとは』を、NTPGを理解するために必要不可欠な文献として読んでいただきたいですね。(続く)
関連記事
カテゴリ :N.T.ライトの神学思想 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

関西牧会塾 「ナウエンに学ぶキリスト教霊性」(概要)

 2015-11-20
IMG_0804.jpg
 今年から開始した、関西牧会塾。5月、7月、9月、11月と、四回にわたって、ナウエン講座を持ちました。
一回は2日間で、一日二つのトピックを取り上げ、計4つのテーマで受講者と一緒に、ナウエンの世界をたどりました。以下はそのあらすじです。
 ナウエンが大好きな人たちとの出会いは、とても元気づけられました。


第一回「ナウエンの霊的形成とは、神の愛と観想の祈り」(5/18-19)
一日目
(パート1)ー「霊的形成とは」
  奉仕者に求められる霊性
  内への旅と外への旅
  霊的修練の全体像

(パート2)ー「霊的形成と霊的成熟」
  霊的成長での古典的理解
  ナウエンの霊的形成
  成熟した霊的生活とは

二日目
(パート3)ー「祈り、神の愛」
  祈りによって神の愛を受け取る
  神の愛に根ざしたイエスの宣教
 「祈り」という修練

(パート4)ー観想の祈り
  レクティオ・ディヴィナ
  臨在とは(プレゼンス)
  観想の祈りについて

第二回 「『傷ついた癒し人』(1)、もてなし」 (7/13-14)

一日目
(パート1)ー「ナウエンは現代人をどう理解したか」
  脱走兵のエピソード
  「苦悩する世界」
  核時代の人間の苦しみ

(パート2)ー「苦悩する牧師」
  傷ついた癒し人のエピソード
  個人としての孤」
  奉仕職としての孤独

二日目
(パート3)ー「もてなしの基本的理解」
  もてなし(Hospitality)とは
  もてなしはキリスト者の使命
  もてなすということ

(パ−ト4)ー「もてなしを実践するには」
  もてなしと共同体
  子供という客人
  イエスをもてなす、イエスにもてなされる

第三回「『傷ついた癒し人』(2)、喜びと悲しみ」(9/14-15)
一日目
(パート1)ー「現代人へのミニストリー」
  断絶した現代世界でのミニストリー
  解放への小道 
  根なし世代へのミニストリー

(パート2)ー「希望なき人間へのミニストリー」
  個人への配慮
  最も個人的なものは普遍的
  人生の価値と意味への信仰

二日目
(パート3)ー「喜びと悲しみ」
  感謝と喜び
  悲しみを迎え入れる
  イエスの喜び

(パート4)「臨在と不在」
神の臨在と神の不在の間で
聖餐式における神の臨在と不在
神の不在における臨在

第四回「憐れみ、共同体、宣教とは、人生を祝う」(11/16-17)
一日目
(パート1)ー「憐れみ(コンパッション)とは」
  憐れみとは何か
  憐れみへの道
  憐れみという賜物

(パート2)ー「 共同体(コミュニティ)」
  憐れみと共同体
  共同体を育む
  教会というコミュニティ

二日目
(パート3)ー「宣教とは」
  コンパッションから宣教へ
  イエスの宣教スタイル
  共同体としての宣教

(パート4)ー「人生を祝う」
  祝うことへの招き
  祝うことがもつ逆説
  小さなことを祝う
関連記事
カテゴリ :ヘンリ・ナウエン トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

牧会塾での黙想セミナー「放蕩息子」

 2015-09-30
IMG_1123 (1)

 昨日、ナウエン著『放蕩息子の帰郷』を題材にした黙想会を牧会塾主催で行いました。
これはナウエン自身が、行ったリトリートの資料を用いて、ナウエンの解説と彼が作った問い、また選んだ聖書箇所を使って、参加者に、それぞれ黙想の時間をとっていただくものです。

 会場に少し大きなレンブラント作「放蕩息子の帰郷」のポスターを壁に掲示し(写真上)、参加者には適宜、席を立って観賞しながら黙想していただきました。

 以下がそのテーマです。

 午前 1)再会のお祝い(父と子)
    2)父と弟息子の再会の現場に自分がいたとしたら

 午後 1)兄息子(大きな霊的チャレンジ、自分の中にいる兄息子)
    2)父の惜しみない愛

 父なる神とイエスとの関係から、私たちに注がれる神の惜しみない愛の世界に触れました。

 次回は、10月20日(火)午前10時半〜午後4時
 今回と同じようにして、ナウエンに導かれながら神の愛の世界に浸ります。

 参加のお問い合わせは、牧会塾へどうぞ


関連記事
カテゴリ :ヘンリ・ナウエン トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

すぐ書房社主、有賀寿先生が天に召される

 2015-08-27
41H52PB.jpg
 キリスト教出版のよき先輩であり、私にも数々のことを教えてくださった「すぐ書房社主 有賀寿先生」が先日、天に召されたとの報をフェイスブックで知りました。

 最近はめっきりお目にかかることなく、いつかこの日がくるとは予想していましたが、寂しいかぎりです。

 あるグループでの読書会にもしばらく参加させていただきました。そこで私は遅刻常習の劣等生でしたが、初歩的な質問に寛容にお相手してくださいました。
 その博学、見識、質の高い出版社を一人で維持されてきた生涯は、日本の教会に多くのものをもたらしてくださったと思います。

 私は有賀先生の言葉で、キリスト教理解、神学の世界に目が開かれたことが数知れません。その都度、自分の中で視野が広げられたことを思い出します。事務所にもふらっと立ち寄ってくださり、書物をいただいたり、声をかけてくださいました。

 私が出版などまったく考えていなかった何十年も前、バイトで翻訳や編集の仕事くださいました。考えてみれば本人にその意識はなくても、結果として私に手ほどきくださったのだと思います。

 
41JusqDJ.jpg
 過去、刺激を受けた先生との会話について思い起こしています。

 主のもとで安らかに。やがてまたお目にかかりましょう。

(上はジョン・ストットの名著『信仰入門』。後に『これがキリスト教です』として改訂版。下は『衣替えするキリスト教』。ご本人によるユニークな伝道論を展開した興味深い書。禁教だった江戸時代もキリスト教が密かに浸透していたことを指摘した耳を傾けるべき書。すぐ書房は先生の引退と共に活動停止なのも残念。)
関連記事
カテゴリ :本 作 り トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

正誤表『クリスチャンであるとは』(初版)正誤表

 2015-07-01
誠に申し訳ありません。『クリスチャンであるとは』初版につき、
以下の部分を訂正いたしますので、よろしくお願いたします。

◎26頁2行目「か東南アジア」→「と東アジアや東南アジア」
◎40頁1行目「関心に高まり」→「関心の高まり」
◎81頁3行目「それが神を」→「それらのどれ一つとして神を」
◎87頁5行目「クリスチャが」→「クリスチャンが」
◎104頁後ろから6行目「六十年半ば」→「六十年代半ば」
◎111頁3行目「乳と密」→「乳と蜜」
◎165頁後ろから7行目「選択枝」→「選択肢」
◎217頁7行目「この点ついては」→「この点については」
◎229頁2行目「叫びでなのある」→「叫びなのである」
◎249頁後ろから2行目「キャノン」→「カノン」
◎260頁4行目「夫人」→「婦人」
◎312頁6行目「イスラエス」→「イスラエル」
◎313頁3行目「ヘラクレイトス」→「ヘラクレス」
関連記事
カテゴリ :小社出版物の正誤表 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

次期ベルリン・フィル主席指揮者が決まる。ロシア人のキリル・ペテレンコ

 2015-06-26
 ベルリン・フィル首席指揮者が、英国人のサイモン・ラトルから、ロシア人のキリル・ペトレンコに交替するそうです。私は新指揮者についてほとんど知りませんが、以下の動画を見ると全身を投げ出す情熱的な指揮ぶりに(とくに終結部)、大いに期待が持てます。
 お得意なのか、同じロシア人のスクリャービンの交響曲《法悦の詩》。この法悦とは、「エクスタシー」のことで、ヘンリ・ナウエンもある書物で「エクスタシー」について書いています。
 たぶん、ロシア正教の神秘的な要素とつながりがあるのかもしれません。
関連記事
カテゴリ :心を潤す音楽 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

N.T.ライト新刊書『クリスチャンであるとは』予約を開始

 2015-05-22
 世界的に注目され、日本でも関心が高まったきたイギリスの神学者、N.T.ライトによる邦訳の予約開始しました。
 ある方が本書の発行をもって「N.T.ライト元年」と形容しました。人によっては、「聖書ってこうだったのか!」「クリスチャンてこうだったのか!」と言えるような「驚きの」世界、素晴らしい新鮮な内容で溢れています。ご期待ください。

表1影付



『クリスチャンであるとは』
 ー N・T・ライトによるキリスト教入門
 
 四六版並製(344頁)
 価格: 2,700円 (税込)
 厚み: 20mm







◎極めて強い印象を受けた。じつに新鮮に書かれている。まったく新しいものかのようにキリスト教を紹介している。文句なく素晴らしい。極めて先鋭的。圧倒される。(アントニー・フルー、大学教授、著作家)

◎難解なキリスト教の真理を、新鮮で、活き活きとしたイメージを用いて明らかにし、あらゆる角度から検討し、決して飽きさせない。著者はその才能で抜きん出ている。(『ナショナル・カソリック・レポーター』)

◎現代のキリスト教信仰の意味を説明するのにN.T.ライト以上の人はいない。本書は、キリスト教の真理と活力、そして著者の力量を示した驚くべき証しである。(ウィル・ウィリモン、合同メゾジスト教会主教)



目次
はじめに

第一部 ある声の響き

 第1章 この世界を正しいものに
 第2章 隠れた泉を慕って
 第3章 互いのために造られて
 第4章 この地の美しさのために

第二部 太陽を見つめる 

 第5章 神  
 第6章 イスラエル  
 第7章 イエス──神の王国の到来  
 第8章 イエス──救出と刷新  
 第9章 神のいのちの息  
 第10章 御霊によって生きる

第三部 イメージを反映させる
 
 第11章 礼拝  
 第12章 祈り  
 第13章 神の霊感による書  
 第14章 物語と務め  
 第15章 信じることと属すること  
 第16章 新しい創造、新しい出発

結び──さらなる展開のために 


 ネット書店→ あめんどうブックス

上からご注文いただいた商品は、問題がなければ29日から行います。
書店に並ぶにはそれから数日かかるでしょう。(6月第1週)
Amazonへの出品も半月以上はかかります。
弊社のネット書店をどうぞご活用ください。

【お支払いの仕方】いずれかお選びください。
◎前払い(クレジットカード)
◎後払い(郵便振替)
◎コンビニ支払い(後払い、手数料100円追加)


 ネット書店→ あめんどうブックス
関連記事
カテゴリ :本 作 り トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

N.T.ライト『クリスチャンであるとは(Simply Christian)』鋭意制作中。最後の段階。

 2015-04-27
IMG_0432.jpg N.T.ライトによる新刊『クリスチャンであるとは』は、最後の制作の段階にきています。この最後の段階に時間がかかり大変。

 複数の方に試し読みをしていただき、その意見を反映し、さらに校正をかけ。。。。修正もたくさん出ています。おもには日本語での表現についてですが。
 原文は複雑な込み入った文章です。これまで訳者とずいぶん時間を費やして相談してきましたが、中身が明瞭になるほど、細部の検討が出てきます。
 待ちわびている読者の方々に早くお届けしたいですが、慎重さを要する検討が続いています。

 複雑な文章、意味深長さ。神学、歴史、芸術、文化、思想史、他宗教、現代の問題などなど、多彩、多岐にわたる内容に、編集者としても、長距離走が続いて息があがってきています。
 他の人から必要な助けを得ながら、ひとがんばり、もうひとがんばり、と自分に言い聞かせつつ。

 「いつまで続くぬかるみぞ」という感慨も湧いてきますが。。。。。
 もう、ちょい、という声も聴こえてきます。
 もうしばらくお待ちください。
関連記事
カテゴリ :本 作 り トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

3.11 追悼の音楽

 2015-03-11
チャイコフスキー 組曲4番 第3楽章「祈り」
モーツアルトの原曲をListがピアノ譜に編曲し、それをチャイコフスキーがオケ用にさらに編曲したらしい。
関連記事
カテゴリ :心を潤す音楽 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

モーツァルトが13歳で作曲「カッサシオン」ト長調KV63

 2015-02-06
 長らくモーツアルトを聴いてきましたが、この曲は知らなかったので驚き。彼の中期、後期の傑作ばがり楽しんできたので。計算すると13歳で作曲。いまで言えば中学一年生。若々しい息吹を楽しめます。演奏の楽団員も楽しそう。8:00から始まる第4楽章が極上の美しさ。生きていたよかった。動画の画質も音もよし。
関連記事
カテゴリ :心を潤す音楽 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

こんなに美しい音楽があったなんて知らなかった。(シベリウス「練習曲Op76-2」)

 2015-01-28
原曲はピアノ小品。ギターとチェロって合いますね。
関連記事
カテゴリ :心を潤す音楽 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

新年にバッハのカンタータ29番から「シンフォニア」をオルガン演奏で

 2015-01-07
 新年に景気のよい元気が出てくる音楽。欧州の由緒ある教会では、こんなにパワー全開で電力をいっぱい使った現代パイプオルガンの演奏はあまりないと思いますが、アメリカのパワーと元気いっぱいのエネルギーをスケール大きく表現して、これもいいのではないでしょうか。この曲は私の大好きな曲の一つです。
以下の三つの動画は、それぞれ音量が異なるので調整してお聴きください。お好みはどれでしょうか。
それぞれ4分ほどの短い曲です。しかし、バッハさん、のりのりの気分で作曲したんでしょうね。
 その出来ばえに作曲者の満足そうな笑顔が思い浮かびます。

楽譜を見ながら鑑賞できます。この楽譜の数学的美しさ。活き活きとした運動性。能力があったら演奏してみたいですが、私は鍵盤弾けないので、とても無理で夢の世界です。


これはフランスの教会付きオルガンのようです。会堂全体に響いている感じがいいですね。動画でいつでもこの曲を楽しめるなんて、いい時代になったものです。演奏者は暗譜でまったく自分のものにしている集中が見られます。

関連記事
カテゴリ :心を潤す音楽 トラックバック(-) コメント(0)
タグ :

CT誌ー20世紀の宗教•思想書100選パート10(No.45-41)

 2014-12-19
 じつに、三年ぶりのシリーズの更新です。若干名期待している方々に、お待たせして申し訳ありません。
「クリスチャニティ・トゥデイ誌」が選定した20世紀を代表する宗教書100冊。全部を紹介する目標に向かって遅々とした歩みです。私が知らない書物も多く、このシリーズは自分の世界を広げるのに役立ってます。
 ここに紹介するほとんどの書物は、私も読んでいないので、ネットから調べたデータによって「こういうことらしい」ということで紹介しています。

45 『預言者の想像力』現実を突き破る嘆きと希望 ウォルター・ブリュッゲマン(''The Prophetic Imagination'' by Walter Brueggemann 1933〜)1992、2001改訂。米国人。プロテスタントの旧約聖書学者。邦訳2014年発行。

 エレミヤの嘆き、イザヤの希望。現実世界の不正や混乱に無感覚になるのでなく、その事実を見据えて、ひたすら嘆くことに意味があると主張しています。イエスの憐れみ(スプラングニゾマイ---はらわたから苦しむ)は、苦しむ人、社会の隅に追いやられ、無視されている人に向けられたもの。その苦悩をイエスは十字架にかけられ処刑されることで受け止められたと言います。権力者による支配への徹底的な批判、イエスの死と復活、そこでの新しい世界の始まりに希望を結びつけています。今年の4月、鎌野直人師による翻訳で、ついに出版になりました。

預言者の想像力―現実を突き破る嘆きと希望預言者の想像力―現実を突き破る嘆きと希望
W. ブルッゲマン Walter Brueggemann

日本キリスト教団出版局 2014-04
売り上げランキング : 766616

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


44 『四つの四重奏』(原著1943年)T.S.エリオット (''Four Quartets'' by Thomas Stearns Eliot)(1888–1965)。米国に生まれ。25歳でイギリスに移住。エッセイスト、文芸評論家、劇作家、詩人、編集者。ノーベル文学賞受賞(1948)

 T.S.エリオットは、いろんなキリスト教書のなかで引用されるので、名前はよく見ます。しかし、たぶん日本では、ほとんど知られてない人物だと思います。詩作が中心であるため、私たちになかなかなじめないのでしょう。英文学科で学んだ人は、言わずもがなの人物なのでしょう。
 1927年にアングロ・カトリックに改宗(アングロ•カトリックとは、英国国教会のことでしょうか?)。宗教色の濃い作品を書く。その中でも本書は彼の最高傑作。
 大江健三郎氏は、20世紀最大の詩人と言っているようです。内容は濃く、重く、人生、思想の回想、平安への祈り、それらの深い黙想の詩。ひとつ一つの詩は長く、読み通すのが大変そうです。

Amazonの読者評には、
「静寂に包まれ、この詩の中では、時間、空間、物質、意識などが、すべてが言葉の中に溶け合っている」と素晴らしい言葉が。。

四つの四重奏 (岩波文庫)四つの四重奏 (岩波文庫)
T.S.エリオット 岩崎 宗治

岩波書店 2011-04-16
売り上げランキング : 54486

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


43 『Living in Truth』(1986年--邦訳見当たらず)ヴァーツラフ・ハベル( Václav HavelVáclav 1936–2011)
ハベル大統領と言えば、たぶん50代以上の人は分かっていると思いますが、共産圏下のチェコスロバキア時代に、劇作家、文学者でありながら抵抗運動の指導者として活躍。何度も逮捕されたり、投獄されたりした国際的な有名人。そして流血の惨事に陥ることなく、静かな、平和的な解決をいまのチェコとスロバキアにもたらしました。その革命は「ビロード革命」(ビロードのように滑らかに改革を進めた)と呼ばれています。つい数年前に亡くなっています。
 ただ、この本についての情報はネット上に見つからず、内容はまったくわかりません。自伝なんでしょうか? 自伝は邦訳が出ており、その絶版を入手して原著のタイトルまで調べようとはまだしておりません。しかし、宗教書に選ばれるということは、かなり彼の信仰的な面に触れているのかもしれません。
 元々はチェコ語で書かれたのでしょうが、それが英語に翻訳され(それがCT誌で選ばれ)、また日本語に翻訳されるときは、たぶんチェコ語から訳されるので、タイトルが同じとは限りません。(そこが、本シリーズ100選作成の上で、悩ましいところです。)
jpeg.jpg

42 『新約聖書のモラル・ヴィジョン』―共同体・十字架・新しい創造 (原著1996年、邦訳2011年)リチャード・ヘイズ(The Moral Vision of the New Testament: Community, Cross, New Creation by Richard B. Hays. 1948〜)米国人。新約聖書学教授。2010年からデューク大学神学部長。 170頁のわりと厚くない本。

「聖書のメッセージに耳を傾けながら生きること」を研究のテーマとする。その方法論と具体的な問題への適用の道筋と意義を解説。新約聖書倫理学のコンパクトな概説書。ただし、本書は、「New Testament Ethics: The Story Retold」という、上の本の縮刷版である模様です。フルバージョンの原著のタイトルを、縮刷版に採用したのかもしれません。そこで邦訳の表紙の英語タイトルが異なっているんですね。

・聖書の持っているモラル・ヴィジョンをその時代背景からしっかりと受け取り直し、その時代と異なる現代社会に対する新鮮なモラル・ヴィジョンとして提示してくれました。」

【目次】(キリスト新聞のサイトから)
第1章 研究領域の地図作り
    ―新約聖書倫理学への接近
第2章 ストーリーをあらためて語る
    ―信仰の基準と新約聖書倫理学の作業
第3章 キリスト教倫理に対する史的イエスの意義
第4章 男性と女性
    ―メタファー的方法の実例

新約聖書のモラル・ヴィジョン―共同体・十字架・新しい創造新約聖書のモラル・ヴィジョン―共同体・十字架・新しい創造
リチャード ヘイズ Richard B. Hays

キリスト新聞社 2011-04
売り上げランキング : 1025872

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


41 『ヒロシマ』(原著1946年 邦訳増補新装版2014年)ジョン・ハーシー (1914–1993 John Hersey)
 中国天津に生まれ。ジャーナリストとして活動。ピュリッツァ賞受賞。イェール大学で20年間教える。アメリカ著作家連盟会長、アメリカ芸術文学学校校長を歴任。

 6人の広島の原爆被害者(そのうち3人がキリスト者。米国で神学を学んだメソジスト教会の日本人牧師、ドイツから派遣されたイエズス会の神父、ドミニコ会の日本人シスター)にインタビューした記録で有名らしいです。私はまったく知りませんでした。まあ、日本にいれば、原爆の歴史はよく報道されるので、かなり知っている内容が書いてあるのかもしれません。あるいは、経験者の言葉を取材し、米国人の目で見た分析は、本書にしかないものがあるかもしれません。

(BOOKデーターベースより)
「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた。史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らせ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪をもとに執筆した5章「ヒロシマ その後」で、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づけた。

(Amazonで掲載の書評 Copyright© ペイパーウェイト・ブックス)
1945年8月6日、世界ではじめて原子力爆弾が広島に投下された。そして広島は一瞬にしてすべてが破壊された。本書は、ピュリッツァー賞作家ジョン・ハーシーが、原爆投下直後の広島を自らの足で歩き、生き残った人々の真実の声を集め、それらを記録し、1946年に発表された作品である。
あの日、広島にはなにが起こったのか。あの原爆投下の正当性については、政治の立場、科学者の立場、そして「人間として」の立場から、いまなお、さまざまな意見が述べられている。しかし、本書は、軍隊を持つ国々に暮らし、紛争の絶えないこの地球に生きる私たちすべての人間が、原爆と広島についての事実と真実を知るために、読まなければならない1冊である。1946年の初版から40年の時を経て、著者ハーシーは再び広島を訪れた。そのときのことが最終章として追加され、胸に強く響く。

Hiroshima ウィキペディアでの英文の解説は読み応えがある

ヒロシマ 〈新装版〉ヒロシマ 〈新装版〉
ジョン ハーシー John Hersey

法政大学出版局 2014-05-30
売り上げランキング : 150294

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
関連記事
カテゴリ :CT誌-20世紀の宗教書100選 トラックバック(-) コメント(1)
タグ :
≪ 前ページへ ≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫